先天性心疾患の成人移行・移行医療

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先天性心疾患の成人移行・移行医療

先天性心疾患のある子どもが大人になるとき、通院先は小児科から大人の診療科へ移っていきます。この成人移行には、病院を移ることだけでなく、本人が自分の病気を理解し、自分で診療に関われるよう準備していくことも含まれます。このページでは、進学や就職、制度、家族との役割分担も含めて、何をいつ相談すればよいかを整理します。

最終確認日:2026年10月1日

成人移行・移行医療とは

成人移行(移行医療)は、子どもの頃からの診療を途切れさせず、本人の成長に合わせて成人期の医療と生活の支援につなぐ過程です。自分の病気への理解や診察への参加を少しずつ進め、家族・医療者と一緒に学校や仕事の準備も整えます。

本人が家族と一緒に健康メモを見ながら医師に質問する場面
自分の病気を知り、家族や医療者と一緒に成人期の準備を進めます。

いつ頃から準備する?

大人の診療へ移る年齢に、明確な決まりはありません。先天性心疾患情報ポータルの資料によると、移行する年齢は12〜20歳と幅があり、実際には高校や大学を卒業するときや、20歳を迎えたときに紹介されることが多いとされています。いつ移るかは、本人の理解や希望、病状、進学や転居の予定、地域の診療体制によって変わります。主治医と相談しながら、少しずつ準備を進めていきましょう。

いま小児科に通っている方は、次の診察で「大人になってからの通院先と、いまから準備できることを知りたい」と伝えてみてください。すでに大人になっている人も、いまの状況から相談を始められます。

本人が知っておきたい自分の病気

次の項目は、自分の病気について知っておきたいことです。いまは分からない項目があってもかまいません。次の診察で確認するためのメモとして使い、家族や医療者と一緒に少しずつ埋めていきましょう。

診察で一緒に確認する健康メモ
自分の病気を 主治医と確認:病名・手術歴 治療の記録、薬の飲み方 アレルギー、通院先 緊急時の連絡先、学校・仕事 暮らしの配慮病名・手術歴治療の記録薬の飲み方アレルギー通院先緊急時の連絡先学校・仕事暮らしの配慮自分の病気を主治医と確認
自分の病気を 主治医と確認:病名・手術歴 治療の記録、薬の飲み方 アレルギー、通院先 緊急時の連絡先、学校・仕事 暮らしの配慮自分の病気を主治医と確認病名・手術歴治療の記録薬の飲み方アレルギー通院先緊急時の連絡先学校・仕事暮らしの配慮
詳しい確認事項を見る
  • 病名と治療の記録

    正式な病名と、自分の心臓の状態。

    手術を受けた時期・医療機関・手術の内容。

    カテーテル治療を受けた時期と内容。

  • 薬とアレルギー

    薬の名前・量・飲み方と、相談する窓口。

    薬などのアレルギー。

  • 通院先と緊急時

    現在の医療機関・診療科・主治医、次の予約。

    緊急時の連絡先、主治医から伝えられている注意。

  • 暮らしで必要な配慮

    運動・学校・仕事・日常生活で、自分に必要な配慮。

診療情報をまとめた書類やお薬手帳があれば、どう保管し、受診のときにどう使うかも主治医に相談しておくと役立ちます。なお、このリストは、治療や薬の変更を自分で決めるためのものではありません。

小児科から成人診療へ

小児科から大人の診療科へ移るときは、たとえば次のような流れで進めます。

通院をつなぐ、4つの確認
1 相談する人を 確認、2 受診先を 一緒に検討、3 記録・紹介状と 初診予約を確認、4 困ったときの 連絡先を決める1相談する人を確認いまの主治医と2受診先を一緒に検討病状・生活に合わせて3記録・紹介状と初診予約を確認4困ったときの連絡先を決める
1 相談する人を 確認、2 受診先を 一緒に検討、3 記録・紹介状と 初診予約を確認、4 困ったときの 連絡先を決める1相談する人を確認いまの主治医と2受診先を一緒に検討病状・生活に合わせて3記録・紹介状と初診予約を確認4困ったときの連絡先を決める
詳しい確認事項を見る
  1. 01
    相談相手を確認
    現在の主治医と、移行を相談する担当者を確認する。
  2. 02
    受診先を相談
    本人の希望、病状、生活予定に合わせて候補の受診先を相談する。
  3. 03
    診療情報と予約
    紹介状と診療情報の引き継ぎ、初診予約を確認する。
  4. 04
    困ったときの連絡先
    移行中・移行後に困った場合の連絡先を決める。

なお、移ったあとも、しばらくは小児と大人の診療科が連携して診ることがあります。移行の途中で通院が途切れないよう、次の予約や引き継ぎの方法を確認しておきましょう。

成人先天性心疾患の病院を探す

移行先の病院を探すときは、日本成人先天性心疾患学会が公開している修練施設や専門医の一覧が手がかりになります。候補が見つかったら、いまの主治医と相談しながら、自分の病気に対応しているか、紹介状が必要か、初診の予約が取れるかなどを確認しましょう。

成人先天性心疾患の病院・専門医を探す

進学・就職時に考えること

進学や就職をきっかけに、生活が大きく変わることがあります。授業や勤務の時間に通院をどう組み込むか、必要な配慮を誰に伝えるか、引っ越す場合はどこに通うかを、前もって整理しておきましょう。体調面の注意点は主治医に、学校や職場との調整はそれぞれの相談窓口に確認すると進めやすくなります。

また、子どもの頃に受けていた医療費の助成には、年齢の区切りがあります。たとえば小児慢性特定疾病の助成は原則18歳未満で、条件を満たせば20歳未満まで続けて受けられます。大人になってから別の制度を使う場合は改めて申請が必要なため、区切りが近づいたら、医療相談室や自治体に早めに相談しましょう。

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家族から本人主体の医療へ

移行のなかで大切にされているのが、本人主体の医療です。これは、必要な支援を受けながら、本人が自分の希望や疑問を診察の場で伝えられるようにしていくことを指します。だからといって、家族の支えを急に手放す必要はありません。

たとえば、診察での最初の質問は本人がする、薬を家族と一緒に確認するなど、できそうなことから始めてみてください。説明が分かりにくいときや、自分の考えを伝えるのが難しいときは、どんな支援があればよいかを医療者と一緒に考えていけます。

公式資料

患者・家族向けの資料は、移行の考え方を知る入口として役立ちます。ただし、2019年に掲載されたものもあるため、診療体制や制度の現状は、学会や行政、医療機関の最新情報もあわせて確認してください。

専門家の話を読む

NPO法人ハートキッズ・ジャパンが、愛媛大学医学部附属病院の檜垣高史先生に行ったインタビューです。檜垣先生は、子どもから大人への移行期の医療連携や、患者が社会的に自立するための支援に取り組んでいます。治療だけでなく、学校や仕事とどうつなげていくかを知りたい方におすすめします。

ハートキッズ・ジャパン:専門家インタビュー:医療だけでは完結しない——小児循環器医が取り組む先天性心疾患患者の自立支援(外部サイト・新しいタブで開きます)

このインタビューは参考情報として紹介しているもので、このページの医学監修をお願いしたものではありません。

成人していく過程を当事者の経験から読む

心臓障害に特化した情報メディア「はとらく」から、学生生活から就職へ進むなかで、病気との向き合い方や体調管理がどう変わったかをつづった当事者の体験記を紹介します。いずれも個人の経験のため、同じ病名の方に同じ経過や働き方が当てはまるとは限りません。

よくある質問

成人移行は、必ず別の病院へ移ることですか?

必ずしも別の病院へ移るとは限りません。同じ病院のなかで、小児科と大人の診療科が連携して診る場合もあります。どのように移っていくかは、本人の準備や病状をふまえて主治医と相談してください。

病名や手術の内容を知らないのですが、遅いでしょうか?

遅いということはありません。分からない項目を主治医に伝え、分かりやすい説明や、これまでの診療情報をまとめた資料をもらえないか相談してみてください。

一人で診察を受けられないと移行できませんか?

一人で診察を受けられることが、移行の条件ではありません。必要な支援は人によって異なるため、本人の希望と、どんな支援が必要かを、医療者や家族と相談しながら進めてください。

編集・更新情報

公式情報・リンク確認日:
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企画・編集責任者:秋山典男(先天性心疾患当事者)

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